爽やかな秋空、まさに体育祭日和だ。

だけどそれとは反対に、俺の心は曇り模様。

その理由は、昨日の春川とのこと。

教室で疲れて寝てしまった俺に、春川は何か言っていた。

よく聞こえなかったけど、たしかにそれは俺に向かっていっていた。

なんて言っていたんだろう。

「藤咲君!実行委員集合だって!」

いつもどおりの春川。

やっぱり俺の、気のせいなのかな。

そう思いながら、その小さな背中を見つめる。

初めて好きになった。

だけど思いを伝えることはできない。

俺の初恋は散々だ。

「藤咲君、200メートル走でるんだよね。頑張ってね!」

ほら、またそんな笑顔を見せられたら、諦めがつかなくなるんだ。

春川はだいたい笑っている。

俺が教室で姿を見かけるとき、立花と、ともだちと話しているとき、楽しそうに笑っている。

だけどたまに、すごく思いつめたような顔をしている。