そして振り返ったいっちゃんの顔は、すごく真剣な顔。

こんな顔をするのは陸上で走る前にしか見たことない。

その顔に、あたしも何も言えなくなった。

「これ。」

差し出されたのは、さっきの借り物競争の紙。

開いてみると、そこに書かれていたのは…

「これが俺の気持ちだから。」

そこに書かれていたのは、好きな人。

好きな人って…それって…

頭が理解するのには時間が全然足りなくて。

でも顔はすごく熱くなっていく。

「日菜、俺、日菜のこと幼なじみとして見てないよ。日菜が好きだ。」

いっちゃんはそう言うと、あたしを胸の中に引き寄せた。

いっちゃんの心臓からはすごく早い鼓動が聞こえる。

「日菜、俺と付き合って。」

いっちゃんと、付き合う?

それはいっちゃんの彼女になるってこと。

そんなこと考えたことなかった。

だって今まで、誰よりもあたしのことをわかってくれて、助けてくれて、大切な存在なのは変わりない。