そしていっちゃんは一直線にあたしたちがいるテントに向かってきた。

なんだろ!

「いっちゃん、何を引い…」

「日菜!来て!」

そう言うやいなや、あたしの腕を引っ張って走りだした。

なんて書いてあったのかなんて聞く暇もないほど、いっちゃんの走りについていくのがやっとで。

ようやくゴールした時には、あたしはゼエゼエ息切れをしていた。

「いっちゃん…なんて書いてあったの?」

幼なじみ?

じゃないよね?

はっ!チビとか!?

「日菜、こっち。」

そうして手を引かれるままに、ひと気の少ない校舎のうらへ。

こんなところへ来てどうしたのかな。

「いっちゃん?お昼食べないの?」

もうみんな、校舎に入っていってるよ。

あたしもお腹すいた。

なのにいっちゃんは黙ったまま、後ろを向いた。

なんだか変だ。

いつもの明るくて元気な、少しうるさいくらいのいっちゃんじゃない。