体育祭の日、あたしは目が回るような忙しさだった。

実行委員ってこんなに大変なんだなって改めて思った。

やっと落ち着いたのは午前中の最後の競技である借り物競争が始まった頃。

すっごく悔しいことに、藤咲君の出ている200メートル走の時はあたしは教室で賞状を作っていて、見られなかった!

クラスメイトの子が騒いでいた。

「藤咲君、ブッチギリの一位だったんだよ!陸上部の人を抜かしちゃって!すごくかっこよかった!」

「ね!どうして部活に入らなかったんだろうね!」

その話を聞いていて余計に後悔した。

あー!もう、見たかった!

でも去年はバッチリ見れたんだ!

たしか去年はリレーに出てて、その時もすごく早くて、ますます惚れちゃった。

本当にまるで王子様みたい。

「日菜!どこ行ってたの?廉君、すごいキャーキャー言われてたよ!後輩にも先輩にも!」

美恵ちゃんが残念そうに言った。