「帰ろっか。」

立ち上がった藤咲君は、やっぱり背が高くて、あたしは見下されちゃう。

こうやって二人で帰れるのも、実行委員の、中原君の、おかけだよね。

彼女がいるってわかってても、浮かれちゃうよ。

「春川、ありがとな。」

「いえいえ、疲れてるの?」

なんだか眠そうだし。

「んー、まあ大丈夫。」

本当なのかな?

9月とはいえ、季節の変わり目は風邪をひきやすいし、朝晩は冷え込むこともあるからね。

「明日頑張らないとね!藤咲君は何に出るんだっけ?」

「200メートル走。春川は?」

「あたしはパン食い競争と綱引き!妹にメロンパン取ってくるって約束したから、頑張るの!」

優芽はメロンパンが大好きだもんね。

「そっか、応援してる。」

そう言って軽く笑う藤咲君を見て、きっとあたしの顔は真っ赤だ。

どうしてこんなにドキドキさせるの?

そんなこと、言わないで。

これ以上好きにならさないで。