「藤咲君こそ良かったの?あたしなんかと。」

控えめで謙虚なところ。

「春川とだったから、やるんだって。」

それが俺を素直に、壊していく。

こんなことをいってしまえるほどに。

他の女子とだったらやってなかったかもしれない。

月乃がいる。

頭ではわかっていても、行動には出てしまう。


「廉、俺に感謝しろよ!日菜ちゃんと、実行委員!良かったな。」

元々の原因である隼人が俺の肩をバシバシ叩く。

「だから、俺は月乃と付き合ってるって言ってんだろ。」

そう言うとまた不機嫌そうにする。

「なんで廉はそこまで自分の気持ちに嘘つくんだよ。素直になっても誰もお前を責めたりしない。むしろ今の状態でいることのほうが、月乃のことも、日菜ちゃんのことも傷つけると思う。」

素直になっても、誰も責めない?

俺は誰かに責められるかもしれないことが怖いんじゃない。

俺は自分のせいで月乃を傷つけるのが、自分のせいで月乃との約束を破ることが怖い。