思いを伝えることもできない。

「ひーな!」

その明るい声に、なにか引っかかる。

「いっちゃん!」

「日菜、実行委員になったんだって?大丈夫なのか?優芽のこととか。」

萩原伊月は春川の隣の家に住む幼なじみ。

結構親密な関係らしく、前も春川の妹と一緒にいたもんな。

「うーん、何とかするよ。大丈夫!」

「俺、今年はやってないからもし千里さんや真生が行けない時は俺が優芽の迎えとか行くからすぐに言えよ!」

「うん!ありがとう、いっちゃん。」

春川がそう言うと、萩原は春川の頭をポンポンと撫でていってしまった。

また胸の中がもやもやする。

俺はこの感情の名前を知っている。

これは、嫉妬しているんだ。

春川と仲良くしている萩原に。

本当に勝手だ。

「春川、大丈夫?忙しいんじゃない?」

「うーん、平気だよ。やるからには頑張りたい!」

そうやって何事にもいつも一生懸命なところ。