月乃が大切なのは変わりない。

それだけは絶対に変わらない。

俺にとって、月乃は特別だから。

それでもそれは、恋愛感情ではないことを、俺はずっと前から知っていたはずなのに。

結局こんな形にしてしまうなんて、どうしてもっとちゃんと理解できなかったんだ?

今さら後悔したってもう遅いのに。

「廉、なんか今日、元気ないね?どうしたの?」

「そんなことないよ。」

月乃を不安にさせることが一番俺がしたくないこと。

だからこの思いは、しまっておこう。

そう思っていたのに。


「藤咲君、明日の放課後、また実行委員は集合だって。」

俺にプリントを手渡しながら、ニコニコ笑う春川。

隼人が俺を体育祭の実行委員に推薦してきて。

最初は断ろうとした。

だけど相手が春川だとわかったら、なぜか勝手に口が動いていたんだ。

勝手すぎる自分の気持ちに、嫌気が差してくる。

春川のことを好きで至って、仕方ないのに。