あたしに優しくしてくれることも、あたしと二人でいることを気にしないのも。

そして、好きな人を聞いてきたとき、本当にドキドキした。

だってあたしの好きな人は、今目の前にいる。

言ってしまえたらどんなに楽なんだろう。

言いたかった。

たった一言、

『好き。』

でもその言葉は言えない。

言っちゃいけないんだ。

きっと言ってしまえばもうこんなふうに話せなくなっちゃう。

それは嫌だ。

だったらあたしは、言わないよ。

初恋なんだ。

初恋はかなわないってどこかで聞いた。

本当にそうなのかもしれないね。

だから、すっきりきっぱりふられて終わるほうがいいのかもしれない。

でもそうしてしまうと、藤咲君もきっと困る。

彼女がいるのに、ただのクラスメイトに告白なんてされたら、今後の生活でもやりにくくなっちゃいそうだもん。

「えっ、告白しなかったの?」

その日の夜、美恵ちゃんから電話がかかってきて驚かれた。