だいたい、隼人の言うとおりなんかにしたら、後で面倒なことになるのに。

わかってるのに、なぜだか体は動いていた。

「ごめん。」

その掴んだ腕を離す。

「…藤咲君、あのね、この後、用事ある?」

下を向いていた春川は口を開いた。

「ないけど、なんで?」

「ちょっとだけ付き合ってくれないかな?」


春川とやってきたのは男物の洋服屋。

なんでこんなところにきたかったんだろう?

「うーん、男の子って誕生日、何をもらったら嬉しいのかな。」

男の子って、あの幼なじみとか?

なんだかもやもやするのは気のせいか。

「藤咲君だったら今、何がほしい?」

春川は真剣な顔で聞いてくる。

俺も聞きたかった。

誰のプレゼントを選んでるのって。

だけど聞いて何になる?

「うーん…何だろ。」

俺がほしいもの。

あんまり小さい頃からあれがほしいとかそういう欲がなかったんだよな。