汗を拭う間に、ポロポロと流れる雫も一緒に擦り取る。
納得して別れたはずなのに、どうしてこんなに喪失感を感じるのだろう。
全ての感覚を失ってしまったかのように感じる。
けれどあまりの酷暑のせいか、あるいはお陰か、体は暑さを訴えるし、早く家に帰りたいと脳内のどこか達観した自分が主張をする。
「…クーラー付けて…アイスを食べよう」
普段は口にしない独り言をぽそっと呟く。
この近くにコンビニがあるのは知っているけれど、今買ったら家に着く頃には原型なんて留めていないだろう。
何より、まだあそこに平然と行ける勇気はない。
一刻も早く帰りたいのに、回り道をしたくなる矛盾と葛藤しつつ、結局自宅の近くのスーパーに寄ることにした。