リビングにはすでに君の両親がソファーに座っていた。
「どうぞ、座って……」
君の母親に促されるまま……ソファーに腰を下ろすと君も僕の隣に座った。
「どうしたんだね、急に改まって話がしたいだなんて……」
ソファーに座るなり、君の父親がすぐさま尋ねてきた。
「す、いませんっ……急に……」
「いや、いいんだよ。ただ……急だったから、どうしたものか……と、思ってしまってね」
そう、思われてしまうのも無理はない……。
君に告白して、その日の内に君の両親に
『話がしたいので時間を作ってほしい……』と伝えだけでなく、
『出来ることなら……近いうちに……』とも伝えていた。
将来のことはまだ、見据えずに付き合うのならば……僕だってわざわざ君の両親に
『付き合いたいです』と、伝えなくてもいいと思うが……
『君と結婚を前提に付き合う……』と、なれば……そうはいかないと思った。
何故なら……君の症状は落ち着き、滅多と災害が起きた日(あのひ)のことを思い出して、感情を取り乱出して泣き続け、思い悩まされることもなくなりつつあったが……『完治した』とは、言えなかった……。
それに君にとって僕は災害が起きた日(あのひ)の出来事を思い出すきっかけになるかもしれない人物だ。
その僕からの告白……。
その上まだ学生だというのに『結婚を前提に…』と、真剣な交際を申し出た以上……きちんと君の両親の承諾を得なければならない……と、僕なりに思い、君の両親に時間を作ってもらい、挨拶をしに来たんだ。
「それで……何かね、話というのは……」
ゴクッ……。
僕は生唾を飲み込んだーー……。