翌日。

僕は事前に君の両親に『話がしたいので時間を作ってほしいです……』と、いう旨を伝えた。
翌日が土曜日ということもあって……君の両親はすぐに僕に会う時間を作ってくれた。
君の自宅を訪れる際はいつも緊張する……。
幾度となく訪れているし、いい加減慣れないと……と、思うけれど一向に慣れない……。
特に玄関のチャイムを押す瞬間は緊張感がピークに達して、なかなか押せない……と、いうことは珍しくなかった……。
今日はいつにもまして、緊張していて……玄関のチャイムを押すためにのばした指先を出しては引っ込め、身なりのチェックをし直して、再び玄関チャイムに指先をのばす……と、いう動作を繰り返していた……。
もう何度目になるだろうか……。
自分でも呆れるくらい同じ動作を繰り返していたらら……不意に、ガチャ……と、玄関の扉が開いた。
「……ねぇ、大丈夫？」
君が少し不安そうな表情(かお)で尋ねた。
「えっ……あっ……」
まさか、玄関のチャイムを鳴らす前に君が出てくるとは思ってなかったから……僕はびっくりしてしまって、言葉が出なかった……。
「二階の部屋から見えたから……。いつまで経ってもチャイム押さないんだもの……心配になって、出てきちゃった……」
……見られていたのか……。
恥ずかしい……。
僕は少しバツの悪い表情(かお)をする……。
告白の時といい、今といい……ここぞ……って、時の僕はなんとも頼りなく、君に情けない姿ばかり見せているような気がする……と、落ち込みそうになる……。
おいおい、何落ち込んでるんだ！
落ち込むなっ!!
今から……今からもっとも大事なことを君の両親に伝えなきゃいけないのに……落ち込んでる場合じゃないぞっ!!
と、落ち込みそうになる気持ちを吹き飛ばすかのように……必死に心を励ます。
今度こそ……男らしい姿をっ……‼
よしっ‼
心の中で気合を入れ、僕は君の自宅へと上がったーー……。