「ーーっ……」
一体、どのくらいの時間(とき)が経ったのだろう……。
ふっ……と、意識を取り戻した時……僕は視界の悪さと埃っぽいさに顔をしかめた……。
……な、にが……。
どう……なっ、て……?
まだ少しぼんやりとする意識の中……僕は今、自分が置かれている状況を理解するためにもまずは意識を覚醒させないと……と思って頭を軽く振ると……パラパラと小石くらいの塊が降ってきて、微かな音を立てながら地面へと降り注ぎ、それによって立った砂煙に反射的に目を瞑る。
再び、そーっと目を開き、今度は目を凝らして目線だけをゆっくりと動かした。
目で確認できたのは大小様々なコンクリート片が僕を取り囲むように辺りを埋め尽くし、その隙間から僅かばかりの太陽の光が差し込んでいた……。
自分が瓦礫の中に埋もれていることを知った……。
やばっ……。
本能的にそう、思うと同時に身体(からだ)を動かしてもがいた……。
瓦礫の中に埋もれているものの運良く瓦礫と瓦礫が重なった僅かな空間に身体(からだ)が埋もれているようで多少動かしにくいが手足の身動きが全く取れない程ではなかった。
これなら……。
運良く数メートル先には人一人分が通れるであろう穴がポッカリとあいていて、僕は身体全体に力を込めて必死に瓦礫の中をもがき、自力での脱出を試みた。
それが果たして本当に正しい判断なのかは分からない……。
僕が無理矢理に瓦礫の中で身動きを取ったことによって辛うじて瓦礫同士が上手い具合にバランスを取り、偶然、生まれた隙間がなくなってしまうかもしれない……。
そう考えるとじっと動かずにあらん限りの声で叫び、救助を求める方が賢明なのかもしれない……。
けれど、そうしている内に僕の側に存在している酸素がなくなってしまったら……?
もしも再び、先ほどのような激しい地震が起きたら……?
いや激しい地震でなくても……ちょっとした揺れで状況が変わるかもしれない……。
最悪……もう、無事ではいられないかもしれない……。
あらゆる、もしかしたら(・・・・・・)……の可能性が頭の中を駆け巡り、不安を煽る……。
やだ、死にたくない……!!
生きたい!!
本能が叫ぶ。
僕は無我夢中で手足を動かし、この状況から無事に抜け出せますように……と、祈りながら瓦礫の中をもがき、ポッカリとあいた穴を目指して進み続けた……。
……やっ、た……。
どのくらいの時間がかかったのか分からないけれど……僕は何とか瓦礫の中から這い出ることが出来き、その場に座り込んで安堵の息を吐いた……。
それから怪我や痛む箇所がないか全身を確認した。
瓦礫の中から抜け出る際に着ていた服がこすれて破れ、かすり傷が所々出来ていて、うっすらと血が滲んでいるところもあったけど大したことはなかった。
そして……ゆっくりとその場に立ち上がり、辺りを見回す……。
「ーーっ!?」
僕は息を呑んだ……。