君の父親のお陰で君の引越し先の住所が分かったから、その周辺にある大学や住居をネットで調べながら……今、通っている大学の事務で、『大学を辞め、他の大学を受験し直したいこと』を相談した。
事務員さんは嫌な顔せず、そのために必要な書類や手続きの手順等を一つ、一つ丁寧に教えてくれた。
僕は大学一年生と、いうことと震災で休学していたこともあって……編入学に必要な単位取得が満たなかったため……その制度を使うことが出来ないことを知った。
ちなみに編入学とは……大学を中退した人でも必要な単位を取得していれば編入学という方法で受験資格が認められ、なおかつ、2、3年で大学卒業を目指すことが出来る制度だ。
編入学の制度が認められれば……早めに大学卒業を目指せるだけでなく、就職活動だって早めに出来る。
運が良ければ早々に内定をもらえ、両親へかかる金銭的負担も減らせる……と、期待したが……そう、簡単にことは上手く、僕の思っているようにはいかなくて……僕はがくっと肩を落とした……。
『受験』という言葉だけを聞くと、とても気持ちが暗く重くなり、受験勉強を苦に感じてしまいそうになるが……
ずっと…君の傍にいたい……。
君が僕を待っている……。
そう思うと……自然と『頑張ろう』と、いうやる気が溢れてくると同時に前向きな気持ちになり、受験勉強に取り組むことが出来た。
ただ、ある意味……僕の我が儘で念願の大学に入学出来たにも関わらず……中退して浪人生となり、他の大学を受験し直すということは……その分、両親に余計に金銭的な負担をかけてしまうことを申し訳なく思った僕は受験勉強のあいまをぬって、アルバイトを始めた。
両親は揃って『そんな事、気にしなくていい。受験勉強に集中しなさいっ‼』と、言ってくれたけれど……受験勉強の費用がかかってしまうのはもちろんのこと……これから、かかるであろう……大学受験の費用や大学への入学金に授業料、引っ越し代、一人暮らしの生活費等、考えたらきりがない程のたくさんのお金がかかってしまうことは容易に想像がついた……。
僕がアルバイトをしたって、そのバイト代は微々たるものでたががしれているけれど……ないよりはマシだろう……と、考えて、コツコツと働いた。
1日、1日……と、受験勉強とアルバイトに明け暮れる日々が過ぎていき……気がつけば、受験の日を迎えていたーー……。