「……えっ……」
花束を差し出すと、君はきょとんとした……。
「退院おめでとう」
僕は柔らかな微笑みを浮かべて、やんわりと言った。
少し戸惑いを見せた後……君はゆっくりと手をのばして僕の手から花束を受け取るとニコッ……と、笑った。
その笑顔は……花の綻ぶような可愛らしい笑顔で僕の胸が、とくんっ……と、高鳴った。
「ありがとう……嬉しいっ……!」
喜んでもらえて……本当に良かった。
君の笑顔に僕はホッとすると共にとても嬉しかった。
心の中がほわっ……と、あったかくて……幸福を感じた。
その後……改めて僕は君の両親と向き合った……。
「……引っ越し……されるんですよね?」
僕の言葉に君の両親は驚き、言葉を失っていた…。
「……ど、うして……その、こと……を?」
ボソッ……と、呟いた君の父親がハッとする。
「……娘……娘が、そう……言ったのか……?」
僕が答えるよりも早く、君は慌てて両親の元へと駆け寄り、頭を下げた。
「ごっごめんなさいっ……パパ……」
「ーーっ……」
「言っちゃダメ……って、言われてだけど……このまま……何も言わずに行くなんてこと……出来なかった……。だって、イヤだったの……。知らないところに行くことも……逢えなくなることも……そんなの……すごく、イヤ……。辛すぎるよ……。だから……言ったの……。ごめんなさい……ごめんなさい……」
ボロボロッ……と、涙を溢しながら……君は苦しそうに言葉を紡いだ……。
そんな君を君の母親は優しく抱きしめ、ゆっくりと背中を撫でた。
「……そう、だったのね……。大丈夫……パパは怒ってなんかいないから……落ち着いて……」
「ママの言う通り……怒ってない」
君の父親も優しく君に声をかけた。
「……お前の気持ちをもっとよく考えるべきだったね……。話をしてしまったのなら……仕方がない」
君の父親は1度……言葉を切り、小さく息を吐いて、冷たく一言僕に告げた。
「引っ越しをする。けれど……君に引っ越し先を教える気はない」
今度は僕が言葉を失った……。
「外来患者専用出入口で話すのは他の人の邪魔になってしまうから……少し離れた場所で話をしよう」
「パパ……」
不安げに君は父親を見た。
「何も喧嘩をしようというわけではないんだよ。このまま……何も言わずに行くわけにもいかないだろう……。それは、分かるね?」
君は言葉なく、コクッ……と、小さく頷いた。
「彼とはもう少しきちんと話をする必要がある。そのためにも悪いが……ママと一緒に先に車に行って、待っててくれるかい?」
君は不安な表情をしたまま……両親と僕の表情を交互に見つめた……。
「大丈夫だよ」
僕は君に近づいて、優しく言った。
「僕もきちんと話をしたいから……少しの間、待っていてほしい……。ダメ……かな?」
君はほんの一瞬……間を置いてから、コクッ……と、再び小さく頷いた。
「ありがとう」
僕がやんわりと微笑むと君もほんの少しだけ微笑みを浮かべてくれた。
「行きましょ」
母親に連れられて、君は駐車場へと向かい、僕は君の父親にある場所へと促されたんだーー……。
花束を差し出すと、君はきょとんとした……。
「退院おめでとう」
僕は柔らかな微笑みを浮かべて、やんわりと言った。
少し戸惑いを見せた後……君はゆっくりと手をのばして僕の手から花束を受け取るとニコッ……と、笑った。
その笑顔は……花の綻ぶような可愛らしい笑顔で僕の胸が、とくんっ……と、高鳴った。
「ありがとう……嬉しいっ……!」
喜んでもらえて……本当に良かった。
君の笑顔に僕はホッとすると共にとても嬉しかった。
心の中がほわっ……と、あったかくて……幸福を感じた。
その後……改めて僕は君の両親と向き合った……。
「……引っ越し……されるんですよね?」
僕の言葉に君の両親は驚き、言葉を失っていた…。
「……ど、うして……その、こと……を?」
ボソッ……と、呟いた君の父親がハッとする。
「……娘……娘が、そう……言ったのか……?」
僕が答えるよりも早く、君は慌てて両親の元へと駆け寄り、頭を下げた。
「ごっごめんなさいっ……パパ……」
「ーーっ……」
「言っちゃダメ……って、言われてだけど……このまま……何も言わずに行くなんてこと……出来なかった……。だって、イヤだったの……。知らないところに行くことも……逢えなくなることも……そんなの……すごく、イヤ……。辛すぎるよ……。だから……言ったの……。ごめんなさい……ごめんなさい……」
ボロボロッ……と、涙を溢しながら……君は苦しそうに言葉を紡いだ……。
そんな君を君の母親は優しく抱きしめ、ゆっくりと背中を撫でた。
「……そう、だったのね……。大丈夫……パパは怒ってなんかいないから……落ち着いて……」
「ママの言う通り……怒ってない」
君の父親も優しく君に声をかけた。
「……お前の気持ちをもっとよく考えるべきだったね……。話をしてしまったのなら……仕方がない」
君の父親は1度……言葉を切り、小さく息を吐いて、冷たく一言僕に告げた。
「引っ越しをする。けれど……君に引っ越し先を教える気はない」
今度は僕が言葉を失った……。
「外来患者専用出入口で話すのは他の人の邪魔になってしまうから……少し離れた場所で話をしよう」
「パパ……」
不安げに君は父親を見た。
「何も喧嘩をしようというわけではないんだよ。このまま……何も言わずに行くわけにもいかないだろう……。それは、分かるね?」
君は言葉なく、コクッ……と、小さく頷いた。
「彼とはもう少しきちんと話をする必要がある。そのためにも悪いが……ママと一緒に先に車に行って、待っててくれるかい?」
君は不安な表情をしたまま……両親と僕の表情を交互に見つめた……。
「大丈夫だよ」
僕は君に近づいて、優しく言った。
「僕もきちんと話をしたいから……少しの間、待っていてほしい……。ダメ……かな?」
君はほんの一瞬……間を置いてから、コクッ……と、再び小さく頷いた。
「ありがとう」
僕がやんわりと微笑むと君もほんの少しだけ微笑みを浮かべてくれた。
「行きましょ」
母親に連れられて、君は駐車場へと向かい、僕は君の父親にある場所へと促されたんだーー……。