翌日。
僕は病院の面会時間が始まる前よりももっと早く……診察時間が始まると同時に病院に着くように家を出た。
君が『引っ越す』ことを教えてくれたけど……いつ、退院して引っ越し先に向かうのか……その時間は言ってなかった……。
これは僕の憶測だけど……君が退院する時間も引っ越し先も知らなかったのはもしかしたら……君が僕に話すんじゃないか……と、君の両親が思い、あえて言わなかったんじゃないか……と、思った。
それほどまでに僕に退院することも引っ越しすることさえも知られたくなかったのだろう……。
病院の外来患者専用の出入口に着くと……運良く私服を着た君と両親にばったり会うことが出来た。
君は母親の隣にぴったりと寄り添っていた。
「おはようございます」
僕は君と両親に向かって挨拶をし、軽く会釈をした。
すると……君の両親は驚き、君は嬉しそうに僕の傍へと駆け寄ってきた。
「はい、これ……」
駆け寄ってきた君に僕は可愛くラッピングされた9本のピンク色のデイジーの花束を差し出した。
この花束は病院に来る前、行きつけの花屋さんで急いで作ってもらったものだ。
君が退院するのに手ぶらで行くのが嫌だった僕は昨日、両親と話し合いをした後……自室の部屋で携帯電話を片手に
君の退院祝いは何がいいのか……
出来れば……特別なものがいいな……と、思い、調べまくった。
あれこれと迷い、なかなか決めることが出来ずにいた僕はハッ……と、あることに気がついた……。
それは……お店の開店時間だ。
翌日、君が何時に病院を退院するのか、分からないので僕は病院の診察時間が始まると同時に君に会いに行こうと考えていた。
そうするとほどんどのお店がまだ、閉店している……。
ならば、今日中に……と、考えるも……すでに時計の針は23時を回っていた……。
普通に考えれば。今の時間帯はほとんどのお店が閉店している。
仮に夜遅くまで営業しているお店があったとして、この時間からすぐに家を出たとしても……お店に辿り着く頃には閉店時間になっていても可笑しくない……。
……参ったな……。
どうしよう……。
僕は考えを巡らし……ふと、ある一軒の店名が頭の中に浮かんだ。
すぐさま手にしたままの携帯電話の電源を入れて、ネット検索をする。
……良かった。
携帯電話の画面に映し出されたお店ー花屋さんの情報を見て、僕は安堵した。
その画面には……お店の開店時間ー8時と記されていた。
お店の人には悪いが……病院の診察時間開始に間に合わせるために急いで花束を作ってもらおう。
何度も君にデイジーの花束を送ったことがあるから……退院祝いにしては一見、パッとしないし、特別感もない……が、手ぶらで行くよりはよっぽどマシなはずだ。
その分……いつもシンプルな包装だから、可能ならば可愛くしてもらおう。
花束にも意味をもたせよう。
君は気づいてくれるかな……?
君に僕の想いが伝わりますように……。
そう、願いながら僕はようやく、君の退院祝いの贈り物を決めたのだったーー……。
僕は病院の面会時間が始まる前よりももっと早く……診察時間が始まると同時に病院に着くように家を出た。
君が『引っ越す』ことを教えてくれたけど……いつ、退院して引っ越し先に向かうのか……その時間は言ってなかった……。
これは僕の憶測だけど……君が退院する時間も引っ越し先も知らなかったのはもしかしたら……君が僕に話すんじゃないか……と、君の両親が思い、あえて言わなかったんじゃないか……と、思った。
それほどまでに僕に退院することも引っ越しすることさえも知られたくなかったのだろう……。
病院の外来患者専用の出入口に着くと……運良く私服を着た君と両親にばったり会うことが出来た。
君は母親の隣にぴったりと寄り添っていた。
「おはようございます」
僕は君と両親に向かって挨拶をし、軽く会釈をした。
すると……君の両親は驚き、君は嬉しそうに僕の傍へと駆け寄ってきた。
「はい、これ……」
駆け寄ってきた君に僕は可愛くラッピングされた9本のピンク色のデイジーの花束を差し出した。
この花束は病院に来る前、行きつけの花屋さんで急いで作ってもらったものだ。
君が退院するのに手ぶらで行くのが嫌だった僕は昨日、両親と話し合いをした後……自室の部屋で携帯電話を片手に
君の退院祝いは何がいいのか……
出来れば……特別なものがいいな……と、思い、調べまくった。
あれこれと迷い、なかなか決めることが出来ずにいた僕はハッ……と、あることに気がついた……。
それは……お店の開店時間だ。
翌日、君が何時に病院を退院するのか、分からないので僕は病院の診察時間が始まると同時に君に会いに行こうと考えていた。
そうするとほどんどのお店がまだ、閉店している……。
ならば、今日中に……と、考えるも……すでに時計の針は23時を回っていた……。
普通に考えれば。今の時間帯はほとんどのお店が閉店している。
仮に夜遅くまで営業しているお店があったとして、この時間からすぐに家を出たとしても……お店に辿り着く頃には閉店時間になっていても可笑しくない……。
……参ったな……。
どうしよう……。
僕は考えを巡らし……ふと、ある一軒の店名が頭の中に浮かんだ。
すぐさま手にしたままの携帯電話の電源を入れて、ネット検索をする。
……良かった。
携帯電話の画面に映し出されたお店ー花屋さんの情報を見て、僕は安堵した。
その画面には……お店の開店時間ー8時と記されていた。
お店の人には悪いが……病院の診察時間開始に間に合わせるために急いで花束を作ってもらおう。
何度も君にデイジーの花束を送ったことがあるから……退院祝いにしては一見、パッとしないし、特別感もない……が、手ぶらで行くよりはよっぽどマシなはずだ。
その分……いつもシンプルな包装だから、可能ならば可愛くしてもらおう。
花束にも意味をもたせよう。
君は気づいてくれるかな……?
君に僕の想いが伝わりますように……。
そう、願いながら僕はようやく、君の退院祝いの贈り物を決めたのだったーー……。