そんなある日のこと。

「じゃ……また、明日(あした)
この日は運良く面会時間ギリギリまで、君の傍にいることが出来た。
君に微笑み、くるっと背を向けようとした瞬間……。
不意に、声を耳にしたような……気がした……。
「……えっ……?」
無意識に声を発し、ゆっくりと振り返る。
君は俯いていた。
気の、せい……?
確かに何か……聞こえたような気がしたんだけど……と、思いながら眉を寄せていると……
「……あ、りが……と……」
ほんの小さな囁きにも似た声が聞こえた……。
僕は慌てて再び、君に目線を向けると君が僕の方を真っ直ぐに見つめていたーー……。