「……ごめん、な……さい……」
僕の胸の中……
ふとした瞬間に君が紡ぐ言葉(おもい)……。
「私……幸福(しあわせ)よ。すごく、幸福(しあわせ)なの。
だけど……何故だか、すごく淋しいの……。哀しいの……。辛くて……苦しいの……。
こんなこと、言って……ごめんね。……ごめんなさい……」
君は肩を震わせながら、喉の奥から絞り出すように発せられたか細く今にも消えりいそうな声で幾度となく同じ言葉を繰り返しては僕に謝り続けるんだ……。
僕はただ……君を抱きしめることしか、出来ずにいる……。
だって……僕は知っているから……。
君が幸福(しあわせ)を感じているのに何故こんなにも淋しく、哀しい想いに駆られてしまうのか……。
君の瞳が幸福感を宿しながらも奥底に微かに憂いを帯びているのか……。
胸を痛め、涙を流す理由(わけ)を知ってる。
全てを知っている……。
『好きだよ』
『大好き』
『愛してる』
幾度となく僕が君が欲してる言葉をいくら紡いでも……
どんなに君を優しく抱いたとしても……
満たされない……。
震災が起きた日(あのひ)から……
もう、二度と君の気持ち(こころ)が幸福(しあわせ)で満たされることはないんだ……と、いうことをーー……。