君の両親の想いを知った日から幾度となく、君の父親の言葉が鮮明に僕の頭の中で繰り返されていた……。
家に帰るとますますその言葉は激しく僕に訴えかけてきて、何度目になるか分からないため息を吐き、項垂れながらも僕なりに懸命にどうすればよいのだろう……と、思いを巡らせ続けていた……。
愛する(かけがえのない)君のことを大切に想うのであれば……金輪際、君に逢わない方が幸福(しあわせ)になれるのかもしれない……。
それは君の両親にとっても……。
じゃ……僕は?
僕自身の幸福(しあわせ)は……?
ズキッ……と、胸が痛んだ……。
本当にそれでいいのか……?
頭の中の片隅にいる冷静な僕が僕に向かって尋ねた。
……い、やだ……そんなの……。
間髪入れずにそう、思った……。
僕が君の傍にいることで君を苦しめるきっかけになる可能性があったとしても……僕は君の傍にいたい。
もう二度と何もせずに君のことを諦めたくない……。
諦めてたまるかっ……‼
君を探す手段がなく、途方に暮れた際に諦めかけたことがあるからこそ……もう二度と諦めたくない……と、強く思ったんだ……。
例え『何とも自分勝手な男性(ヤツ)め……』と、罵られようが構わない……!!
僕は……僕の想いを貫き通すんだ。
ぎゅっ……と、己の拳を力強く握りしめたーー……。