やっとの思いで君に逢えたのは良かったけれど……どんな言葉を君にかけたらいいのか分からずに戸惑っていると……
僕が君の側に近づいてもピクリとも動かさなかった視線が合った、ような気がした……。
えっ……。
その瞬間……(せき)を切ったように……君の瞳から大粒の涙が溢れ出し、躊躇うことなく君は僕の胸の中に飛び込んできた。
そのまま、ぎゅっ……と、僕の汚れた服を掴み、泣き出したんだ……。
僕は驚きのあまり……この1週間着っぱなしの僕の服に顔を埋めて泣く君に『服が汚いから、離れた方がいいよ……』と、いう気遣えさえ気づかずにいた……。
ねぇ……君の行動は何を意味しているの?
この役目は僕ではない(・・・・・)はず……。
なのに、なんで……。
それは君が僕自身を必要としてくれてる……って、考えてもいいのかな……?
もし、そうだとしたら……どんなに嬉しいことか……。
そうであれ……と、祈りながら……僕は君の身体(からだ)に腕を回して、君を優しく抱きしめたーー……。