君の愛する人(あいつ)と僕は高校生の時に出逢った。
クラスも部活も何もかも…いつも3人一緒。
僕は君と君の愛する人(あいつ)と、3人でいる時間が何より大切で楽しかった。
それまでの僕は友達と呼べる友人もいなくて1人で過ごしていたから……。
お互いに気の合う仲の良い大切な友人同士(・・・・)…この関係はこれから先もずっと変わらない。
変えてはいけない……。
そう、思い、僕は初めて君を見た瞬間に抱いた恋心を必死に隠し続けた……。
その思いは僕だけが思っていたようで……共に過ごしてゆく中で、君と君の愛する人(あいつ)との距離は親密度を増していき、いつしか深く、お互いを愛する特別な関係ー恋人同士(・・・・)になっていた。
君と君の愛する人(じぶんたちのかんけい)を僕だけでなく、周りの学生達にも知られないようにひた隠しにしているようだったけど……君と君の愛する人(ふたり)の様子を見れば、一目瞭然。
誰が見たって、君と君の愛する人(ふたり)が恋人同士と、いうことは……バレバレだった……。
君と君の愛する人(ふたり)が付き合いだしてからも3人の関わりは変わらなかったけれど……
ポツン……。
僕、1人だけが取り残されたような感覚をずっと、感じていた……。
親密になってゆく君と君の愛する人(ふたり)の関係を薄々は気づいていたけれど、僕はわざと気づかないふりをしていた。
その方が幾分か、気が楽だったし……君と君の愛する人(ふたり)付き合っている(こいびとどうし)と、いう現実を僕は……すんなりと認めることが出来なかった…。
正直に言えば……認めなくなかったんだ……。
何故なら……3人の関係を思い、律儀に心の奥で君を想う気持ちを必死に隠し続けてきた(じぶん)にとても腹が立っていたし、3人の友人関係をいとも簡単に壊し、自分の気持ちを優先させた君の愛する人(あいつ)が憎くて、憎くてたまらなかったし、許せなかった……。
これまで幾度となく、いいとこ取りをされてきたじゃないか……。
それが分かっていたにも関わらず、お人好しを貫くなんて、僕はお人好しすぎるし、本当にどうかしてる……。
高校3年生になって、君と君の愛する人(ふたり)が同じ大学に進学することを決め、僕は少し距離のある大学へと進学を決めた。
大学入学後は……勉強やサークル活動、バイトに追われて、『忙しい』と、いう理由を口実に僕からは君と君の愛する人(ふたり)との連絡を少しずつ取らなくなっていった……。
そうすることで君と君の愛する人(ふたり)のことを考えなくてもいいし、そうすれば君に対する淡い恋心も少しずつ消えてゆくだろう……と、思った……。
淡々と日々は過ぎてゆき……
震災が起きた日(あのひ)……
一瞬にして、当たり前と感じていた日常生活が一瞬で奪われたんだーー……。