震災が起きた日から6日後。
僕はまだ君に逢えていなかったし、連絡も取れていなかった……。
被害が少ない地域では徐々にライフラインが復旧し始め、場所によっては水や電気が使えるようになり、以前の生活が出来るようになりつつあった。
それまで鳴らなかった携帯電話が久しぶりに音をたてた。
しかも続け様に鳴り響いたんだ。
携帯電話は運良く避難所で充電できる場所があり、そこで充電させてもらえたので、充電切れになることはなかった。
僕は急いでズボンのポケットから携帯電話を取り出す。
数十件というメールと電話着信の嵐にびっくりしたと同時に嬉しさが込み上げてきた。
これで、君に連絡が出来る。
やった。
もうすぐ……もうすぐだ。
きっと、君に逢える……。
悪いと思いながら僕は真っ先に君に電話をかけた。
呼び出し音が鳴り、僕の鼓動が緊張でドキドキと大きく波打つ……。
出てほしい……。
出てくれ……!!
『圏外にいるか、電源が入っていないため、かかりません……』
僕の想いは叶わず……機械的なアナウンスが流れ、プツンと電話は終了した……。
……そ、んな……。
予想とは違う結果に僕はショックを受けて何も考えられなくなっていた……。
その時、携帯電話が慌ただしく鳴った。
僕はタイミングよく、君が電話をしてくれた……と、勝手に思い込み、画面表示をきちんと確認しないまま……通話ボタンを押し、声を発していた。
「もしもしっ……!」
「お前、何やってんだっ!!」
耳をつんざくような怒号に思わず、ビクッと身をすくめた……。
「と、う……さん……」
電話の主は僕の父親だった……。
「今、どこにいるんだっ!? 無事……なのか? 今までどこで何やってたんだ!? 電話もメールも……何の連絡を取れず……どれだけ心配したと思ってるんだっ!?」
父さんの言葉に僕はハッとした。
君と連絡が取れず、安否確認も出来ずにやりきれない思いを募らせていたように……
僕のことを心配し、やりきれない思いを募らせていた家族がいたんだ……と。
それがどれだけ不安で心配でたまらない気持ちだったか……
身をもって感じていたし、分かってもいたのに……。
僕は君のことばかり考え、家族をないがしろにしてしまっいた薄情で身勝手な愚か者だ……。
父さんの言葉がなかったら……僕はきっと気づかなかったと、思う……。
「……ごめんなさい……」
「そうやって、申し訳なく謝るくらいなら……早く帰ってこい!」
「出来ない」
「はぁ……?」
「まだ、帰れない」
「なっ……どうして!?」
納得のいかぬ声が上がった。
「……人を探してる」
「ひ、と……?」
「僕にとって大切な君なんだ。いまだに……連絡が取れなくて……。君と逢うまでは帰れない」
「ーーっ……」
「お願いします! 父さん……君と逢うまで僕の好きなようにさせて下さい……。身勝手なことを言ってるのは……分かってる……でもっ」
僕の必死の訴えに父さんは黙ってしまった……。
僕はまだ君に逢えていなかったし、連絡も取れていなかった……。
被害が少ない地域では徐々にライフラインが復旧し始め、場所によっては水や電気が使えるようになり、以前の生活が出来るようになりつつあった。
それまで鳴らなかった携帯電話が久しぶりに音をたてた。
しかも続け様に鳴り響いたんだ。
携帯電話は運良く避難所で充電できる場所があり、そこで充電させてもらえたので、充電切れになることはなかった。
僕は急いでズボンのポケットから携帯電話を取り出す。
数十件というメールと電話着信の嵐にびっくりしたと同時に嬉しさが込み上げてきた。
これで、君に連絡が出来る。
やった。
もうすぐ……もうすぐだ。
きっと、君に逢える……。
悪いと思いながら僕は真っ先に君に電話をかけた。
呼び出し音が鳴り、僕の鼓動が緊張でドキドキと大きく波打つ……。
出てほしい……。
出てくれ……!!
『圏外にいるか、電源が入っていないため、かかりません……』
僕の想いは叶わず……機械的なアナウンスが流れ、プツンと電話は終了した……。
……そ、んな……。
予想とは違う結果に僕はショックを受けて何も考えられなくなっていた……。
その時、携帯電話が慌ただしく鳴った。
僕はタイミングよく、君が電話をしてくれた……と、勝手に思い込み、画面表示をきちんと確認しないまま……通話ボタンを押し、声を発していた。
「もしもしっ……!」
「お前、何やってんだっ!!」
耳をつんざくような怒号に思わず、ビクッと身をすくめた……。
「と、う……さん……」
電話の主は僕の父親だった……。
「今、どこにいるんだっ!? 無事……なのか? 今までどこで何やってたんだ!? 電話もメールも……何の連絡を取れず……どれだけ心配したと思ってるんだっ!?」
父さんの言葉に僕はハッとした。
君と連絡が取れず、安否確認も出来ずにやりきれない思いを募らせていたように……
僕のことを心配し、やりきれない思いを募らせていた家族がいたんだ……と。
それがどれだけ不安で心配でたまらない気持ちだったか……
身をもって感じていたし、分かってもいたのに……。
僕は君のことばかり考え、家族をないがしろにしてしまっいた薄情で身勝手な愚か者だ……。
父さんの言葉がなかったら……僕はきっと気づかなかったと、思う……。
「……ごめんなさい……」
「そうやって、申し訳なく謝るくらいなら……早く帰ってこい!」
「出来ない」
「はぁ……?」
「まだ、帰れない」
「なっ……どうして!?」
納得のいかぬ声が上がった。
「……人を探してる」
「ひ、と……?」
「僕にとって大切な君なんだ。いまだに……連絡が取れなくて……。君と逢うまでは帰れない」
「ーーっ……」
「お願いします! 父さん……君と逢うまで僕の好きなようにさせて下さい……。身勝手なことを言ってるのは……分かってる……でもっ」
僕の必死の訴えに父さんは黙ってしまった……。