毎年学園で行われる創立記念パーティは、学園行事の中で最も人気があるイベントだった。
ペアだとわかる正装をした婚約者にエスコートされながら会場に入り、二人でダンスを踊る。
それが王道パターン。
だというのに――。
私ではない女性とペアのタキシードを身に纏った、私の婚約者であり第一王子であるライナスの姿に、シェリルは溜息をついた。
「シェリル・アークライト! おまえとの婚約を破棄する!」
突然の婚約破棄に驚く人々を横目に、シェリルは公爵令嬢らしい美しいお辞儀を返す。
「殿下のご意向に従います」
シェリルがゆっくりと顔を上げると、ライナスにベッタリとくっついている伯爵令嬢のカリナは勝ち誇ったように口の端を上げた。
「おまえがカリナにしたことは全部聞いている!」
「私に嫉妬して嫌がらせしたのでしょう? 街でも学園でも」
「本当にイヤな女だな!」
この茶番はなんだろうか?
「早くここにサインしろ!」
ライナスが見せたのは婚約破棄の同意書。
すでにライナスの名前は記載済みだ。
ペンの準備までありがとうございます。
「身に覚えはございませんが、どうぞお幸せに」
シェリルはサラリとサインすると、カリナの頭の上のリスク『93』、ライナスの『89』を確認する。
この二人とはもう関わりたくない。
ごきげんようとシェリルは笑顔でパーティ会場を後にした。
ペアだとわかる正装をした婚約者にエスコートされながら会場に入り、二人でダンスを踊る。
それが王道パターン。
だというのに――。
私ではない女性とペアのタキシードを身に纏った、私の婚約者であり第一王子であるライナスの姿に、シェリルは溜息をついた。
「シェリル・アークライト! おまえとの婚約を破棄する!」
突然の婚約破棄に驚く人々を横目に、シェリルは公爵令嬢らしい美しいお辞儀を返す。
「殿下のご意向に従います」
シェリルがゆっくりと顔を上げると、ライナスにベッタリとくっついている伯爵令嬢のカリナは勝ち誇ったように口の端を上げた。
「おまえがカリナにしたことは全部聞いている!」
「私に嫉妬して嫌がらせしたのでしょう? 街でも学園でも」
「本当にイヤな女だな!」
この茶番はなんだろうか?
「早くここにサインしろ!」
ライナスが見せたのは婚約破棄の同意書。
すでにライナスの名前は記載済みだ。
ペンの準備までありがとうございます。
「身に覚えはございませんが、どうぞお幸せに」
シェリルはサラリとサインすると、カリナの頭の上のリスク『93』、ライナスの『89』を確認する。
この二人とはもう関わりたくない。
ごきげんようとシェリルは笑顔でパーティ会場を後にした。