「そんなこと言っちゃって…もう認めちゃえば?」

何をよ?

日芽はニヤッと笑う。

「吉崎君のこと!私も月島先輩との恋、頑張るからさ、たまちゃんも頑張ろうよ!」

恋を頑張るって…

「あ、噂をすれば、あれ、吉崎君じゃない?」

駅のホームにある柱によっかかってるのは、確かに吉崎流星だ。

もう日付を超える時間なのに、こんなところで何してるんだろ。

「ほら、話しかけてみれば?」

「いいって…」

それになんか、気まずいし…

「りゅーせー!お待たせっ!」

すると柱の影から出てきた女の子が吉崎流星の腕に抱きついた。

…ほら、ね。

間違って話しかけなくてよかった。

やっぱり、あいつが好きだなんて、ありえない。

ありえないし、関係なのに。

なのにこんなに、どうしてモヤモヤが増えて。

私が、また、あいつのせいで私じゃなくなっていく。

「たまちゃん?」

私、変わっちゃったのかな。

数学の問題なら、いいのに。

この問題は、私が直面した一番大きい問題。

参考書も、先生も教えてくれない。