「俺さ、ちょっと不安だったんだ。最近久住さん、なんだか調子悪かったみたいだから、何かあったのかなーって。」

川澄先輩の一言でまた思い出してしまった。

あの日の最悪な出来事を。

エレベーターの前でまた待ち伏せしていた吉崎流星。

無視しようとしたら、腕を掴まれて無理やり、キスされた。

あいつはああやって、いろんな女の子を落としてきたんだ。

バカじゃないの。

私はあんなことで絶対にあいつを好きになんかなったりしない。

「久住さん？」

「…すみません。最近イライラすることがあって…」

せっかくの先輩とのデートなのに、頭に浮かぶのは憎らしいあいつのことばかり。

「俺てっきり久住さんは下の美容室の人と付き合ってるんだと思ってたからさ。」

「付き合ってません！」

あ、やだ。

つい大きな声で否定しちゃった。

なんであいつのことになるとこんなに感情的になっちゃうんだろ。