前より楽しいことが楽しいって思うようになった。

恋するってことがこんなに楽しいことだったんだ。

って、何浸っちゃってんの。

ため息をついて看板を持ち上げた瞬間、ポケットの中に入っていたスマホが震えた。

電話はこの前担当した読者モデルの女の子。

そういや番号交換してって言われてちょっと可愛かったから交換したんだっけ。

「はい。」

『あっ、もしもし流星君?今晩暇?良かったら遊ばない?』

いつもの俺なら二つ返事でオッケーを出す。

けど今の俺は違う。

「ごめんね、俺、行けないや。」

『えっ!なんで?つまんないー!最近流星君付き合い悪いー!』

甘えたような声も、今の俺にはただ不快に感じるだけだ。

「ごめんね。」

電話を切る。

ほんと、変わったな。

ねえ、環ちゃん。

ここまで俺を変えた責任、とってよ。

こんなふうにした環ちゃんにしか責任とれないよ。