かわいい。

ほんと、かわいいなぁ。

「流星ー!」

後ろからガバっと抱きつかれた。

香るむせるような甘い香りに胸がムカムカした。

「最近連絡くれないじゃん。あたし、ずっと待ってるんだよー?」

えーっと、誰だっけ?

確かSWEETの新人モデルの…

「梨亜ちゃん。」

確か一回、遊んだことがあったくらいの関係だっけ。

「今回のカットモデル、本当はあたしがしたかったなー。だってあたしのが、可愛く映れるし、メイクやヘアも慣れてるよ。素人だよね、あの子、誰?」

怪訝そうな顔をしながら俺の腕に腕を回す。

俺はその腕をやんわりと解いた。

「あの子のことは、教えなーい。俺だけの秘密!」

環ちゃんのことは誰にも教えたくない。

このスタジオにいる誰よりも可愛い。

俺だけが、知ってる。

「なにそれ。つまんない。」

ムスッとした顔でくるりと向きを変えてスタジオを出て行っちゃった梨亜ちゃん。