「いや。」

「返事はやっ!」

モデルなんてできるわけ無い。

て言うか、私なんかに頼まなくても他にいくらでも可愛い女の子、いるでしょ。

私なんて一番モデルとかそういう世界から遠い人間だと思うけど。

「そんな即答しないでさ。俺、環ちゃんをモデルにしたい。」

だから、なんで私?

私がやるくらいなら日芽がやったほうがいい。

「ねえ、おねがい。」

そう言うと吉崎流星の手が私の髪に伸びてきて、結んでいた黒いゴムをするりと抜き取った。

パサリと髪が広がる。

「俺、環ちゃんの髪の毛、すげえ好きなんだ。」

そしてひとふさ、髪の毛をつかむ。

「さらさらで、ツヤツヤで、黒くて。」

なんでこんな髪が?

もう随分美容院に行けてないから、適当に伸ばして邪魔だから結んでるだけの髪。

シャンプーやコンディショナーだってドラッグストアで一番安売りしてるやつを使ってるだけ。

乾かすとか、とかすとかそういう必要最低限のことはやってるけど。