もし、待っていたら。

いや、別に行くなんて約束してないんだから、ほっとけばいいじゃない。

待ってたとしても別に関係ない。

私は行くなんて、一言も返事していないんだから。

今は初夏だから、風邪とかの心配もなさそうだし。

でも…

「すみません、私、オフィスに忘れ物したので取りに行ってきます。」

「え?でももう…」

「失礼します!おやすみなさい。」

私は早足で会議室を飛び出した。

だってもし待ってるなら、すっぽかしたみたいになるの嫌だし。

約束はしてないけど、あいつのことだからまた変な交換情感とかつきつけられたら面倒だもん。

タクシーをひろってオフィスのあるビルに戻る。

当たり前だけど、真っ暗。

あいつのヘアサロンも、今日は誰も残業していないのか、オフィスのある四回も電気が消えていた。

エレベーターに乗り、四階のボタンを押す。

まさか、待ってないよね?