夜十時、俺はエレベーターの前で待ちぼうけ。

早く来ないかなー…

ウィーン、と起動するエレベーター!

きた!

「じゃあ下に車あるから…」

エレベーターから出てきたのは、会いたくて会いたくて仕方なかった環ちゃん…

と、誰だ!そいつ!

しかも環ちゃん、俺を一瞥するとスルーしようとしてるし!

ヒドイ!

「ちょっ、ちょっと待ってよ!」

思わず腕をつかむ。

するとギロリと睨まれた。

あー、この目、たまんねえ。

やっぱいいわ。

「何?私これから研修の説明会なの。」

えっ?今から?

遅すぎだろ!

「えっと、久住さん…」

環ちゃんの隣りにいた爽やか系の男が困ったように笑う。

「すみません、何でもないんで。行きましょう。」

環ちゃんは俺の腕を振りほどくとカツカツヒールを鳴らして歩き出す。

爽やか君は俺に一礼する。

何あれ!

なんかムカつく!