「フフーン♪」

「流星、機嫌いいね。」

アンプにコードを差し込みながら真宙が言う。

「あ、流星君のピック、かっこいい!」

スタジオに差し入れに来ていた真宙の妹、のんちゃんこと荻野望美が俺の持っていたピックに食いついた。

さすが、わかってる!

「なんか流星っぽいね。いいじゃん。」

いつも毒舌な陽呂でさえ褒めてくれるこのピック。

さすがは環ちゃんのセンス!

このピックは一週間前、楽器屋で環ちゃんが俺のために愛を込めて選んでくれたもの。

介抱したことをいいわけに、デートしてもらったのだ。

私服、初めて見たけどかわいかったなぁ。

ただの白いシャツにデニムパンツなんだけど、すげえ似合ってた。

あー、考えてたら会いたくなってきた。

実はあの日以来、朝掃除するとき以外会ってないんだよな。

電話番号もメアドもラインも知らないから、連絡しようがないし。

待ち伏せしようかと思ったけど、美容室は結構遅く終わる上に研修中の俺は終わったあと、先輩スタッフといろいろ練習をしたりしてるから。