でも店長命令には逆らえない。

重い道具を持って撮影場所のスタジオがあるビルへ。

「はーるな!」

「流星…」

遥奈もいる撮影だったんだ!

「今日もアシスタント?」

「うん、流星も?」

遥奈ってメイクアシスタントなのに自分はほぼすっぴん。

素朴で、いい意味でナチュラル系。

まあ素材がいいからわざわざ着飾らなくてもいいってだけなんだけど。

「オス!」

頭をバシッと叩かれ、振り向くとそこにいたのはこちらもすっぴんの俺の姉、吉崎莉華。

「はるちゃんもよろしくね!」

「はいっ!」

俺の姉がモデルを始めたのは高校生の時。

地元の祭りでスカウトされ、専属モデルになって。

うちの家系上、身長が高くなるのは当たり前だったから。

でも中学の時はバスケ一筋のスポーツバカだったのに今では女子の憧れ、カリスマモデルの吉崎莉華なんて、信じらんね。

「流星もボーッとしないではやく始めなさいよ!」