「流星!早く掃除!」

いつもなら羽より軽く動くフットワークの俺でも今日は腰が重い。

「へいへーい…」

のろのろと立ち上がり、ちりとりとほうきをもっと店の外へ。

だって今日は環ちゃん、通らねんだもん!

俺が毎朝掃除してんのは環ちゃんにあう口実だったってのに。

はー、つまんね!

環ちゃんは俺に会えなくたってなんとも思ってないんだろうけど!

「あ、そうそう。今日の午後から流星に外仕事!内海さんと雑誌撮影のヘアメイク行ってきてね。」

俺の働くヘアサロンは業界きっての大手ヘアサロンの提携。

だから芸能人も結構御用達。

たまにこうして直接スタジオに派遣されることもある。

「なんの現場ですか?」

「SWEETの表紙撮影、吉崎莉華のね!」

…仕組みやがったな…

なんで俺が姉の撮影なんぞにアシスタントしなきゃならないんだ!

俺の二つ上の姉、吉崎莉華は一応モデル。

家での自堕落な姿を毎日見てる俺はそれが信じらんねえけど。