「じゃあ、おじゃまします…」

川澄先輩は荷物を持って部屋に入ってきた。

沈黙。

別に先輩と同じ部屋なのは構わないんだけど、この沈黙をどうすればいいのか…

「久住さん、ひとつ聞いてもいい?」

「なんですか?」

川澄先輩がこちらを見る。

やっぱこの人、かっこいいな。

モテるわ、そりゃあ。

「久住さんはさ、その、彼氏いるよね?」

は?

彼氏!?

私に?

いっちゃなんだけど、私、彼氏いない歴=年齢だもん。

「いませんよ。」

「えっ?そうなの?てっきり下にあるサロンの美容師さんと付き合ってるのかと思ってた。」

下にあるサロンの…美容師…

まさか、あいつ?

「違いますよ、全然そんなんじゃないです。」

あいつが私の彼氏なんかなわけない。

何なら一番タイプからかけ離れているやつだ。

「…そっか、…よかった。」

よかった?

「何が良かったんですか?」

「えっ!?あー、うん。」