川澄先輩って本当によく気が利くんだなぁ。

まさに理想の上司って感じ。

大人だし、優しいし。

アイツとは大違いだよ。

あ、やだ。

余計なこと考えちゃった。

あいつのことなんて、忘れよう。

時間の無駄。

「今頃灰崎さんと成瀬君、プレゼンに四苦八苦してるかな？」

「そうですね、私も見てみたかったです。」

日芽にツンツンしてる成瀬君をいじめるの楽しいんだけど。

「今日はホテルに泊まって、明日の朝の新幹線で帰る予定だから。これからどこかご飯でも食べに行こうか。」

「はい。」

一度ホテルに行って、部屋に入ると携帯にメールが三件。

ぜんぶ日芽から。

『たまちゃん！助けて！成瀬君が怒ってるよー（泣）』

『怖いよー！たまちゃん！』

そんな内容ばかり。

オロオロしてる日芽と心の中では一緒に仕事できて嬉しくてたまらないっていう成瀬君が想像できちゃって口元が緩んでしまう。

コンコン

部屋のドアがノックされる。