「なに?」

オーオー、怖い。

そんな睨まないでよ!

「もう帰っちゃうの?」

まだ俺の演奏、これからなのに!

「私、明日早いの。日芽も仕事があるし。」

そう言うと環ちゃんは店を出て行った。

「吉崎君、また来るね。たまちゃん、明日から出張なんだ。」

日芽ちゃんがフォローするように言う。

二人が店から出ていき、俺は真宙のもとへ。

「明日から環ちゃん、出張なんだってー。つまんね。」

「へえ、忙しいんだね。流星、邪魔してあげないようにしなよ。」

「へーへー。」

にしても、明日から会えないってこと?

じゃあ明日は玄関の掃除、やる気なくすわ。

「真宙、流星!早く次の曲いけよ。」

カウンターから優雨が言う。

「ごめん!」

真宙が俺をたしなめるように見ると、またギターを演奏しはじめた。

俺の頭の中は環ちゃんの出張のことが気になっていた。