傍から見れば二人共完璧に両思いなのに、いつまでたってもあと一歩が踏み出せない二人。

そんな二人のために俺が何回告白をセッティングしてきたことか。

遥奈は二人の兄に大切に大切に育てられたこちらも引っ込み思案でおとなしい女の子。

「べ、別に!ハルとは…その、…普通だよ。」

何なんだよ、その反応!

「遥奈、現場でモテモテだろうな。あんなめちゃくちゃ可愛いヘアメイク、タレントもほっとかねんじゃね?」

遥奈は俺と同じ系列会社のメイクアップアーティスト。

信心ながらモデルやタレントのメイクも担当するほどの腕前。

だから仕事上、たまにあったりする。

「真宙とは、…別になにもないよ。」

この前聞いたとき、今の真宙と全く同じ反応をしてたっけ。

「ハルとのことはいいの。それよりあの子達、帰るみたいだけどいいの?」

見ればもう二人は店のドアの方に向かっている。

ちょっとちょっと!

「環ちゃん!」