店の雰囲気に合わせて、俺達はアコースティックギターにチェンジ。

洋楽なんかをポロポロと弾いていると。

俺の視界にある女の子が目に入った。

あれは確か…

「日芽ちゃん!」

この店にあまりいない、黒いスーツ。

未成年に見えなくもない幼い顔立ちのその子は同じく四つ葉製薬に務める日芽ちゃん。

名字は知らない。

環ちゃんと仲良しの日芽ちゃんは彼女とは正反対。

小さくてフワフワしてて、まあ男が一番好きなおっとり清楚なお嬢様タイプ。

「吉崎君!どうしてここに?」

「俺たまにここでセッションしてんの。…ところで、今日一人できたの?」

俺は少しながら期待。

だって…

「ごめんね、日芽、トイレの場所迷っちゃった…ってなんで!?」

やっぱり!

やった、俺今日ついてるかも。

「やっほー!環ちゃん!奇遇だね!」

俺はひらひらと手を振るけど、当の本人はものすごく嫌そうな顔をしていて。