ナチュラルに施されたメイク。

それが引き立つのはもともと少しだけキツ目の顔立ちだから。

凛と伸びた背筋。

小さな顔の中にある、まっすぐに俺を見る猫みたいな大きな瞳。

透き通るように白い肌。

細くてスラリとした足はなかなかのポイント。

キュッと結ばれた赤い唇。

そして俺が一番目をひかれたのは一度も染めたことないであろう、まっすぐに伸びたサラサラの黒髪。

つやつやとしていて、柔らかそうで。

美容師見習い中の俺にとって一番の気になる魅力的なチャームポイント。

俺が今まで相手にしてきた女の子とは違う香りがすれ違うときに香った。

石鹸というか、シャンプーというか。

まあ、とりあえず萌えるよね。

俺の最大のあの子の萌ポイント。

ぜひぜひカットしてアレンジしてみたい。

あんなに綺麗な顔立ちと髪の毛、いつもの一つにくくってるだけじゃもったいないなっていつも思うんだ。

そんな彼女は俺の務めるヘアサロンがあるビルの三階、四階をしめるあの大手企業、四つ葉製薬の開発オフィスで働いている。