ほっぺたがじんじんする。

それは数分前、平手打ちされたから。

「おい、流星。なんだよその手形。」

怪訝そうに俺の顔を見るのは俺の一つ年上の高槻風斗。

「どうせまた女に殴られたんでしょ。懲りないよね、流星も。」

年下のくせに生意気な口を聞く矢神陽呂に俺はタックルした。

「なんだと!!もういっぺん言ってみろ!このベビーフェイスが!」

陽呂のすべすべしたほっぺを撫で回すと、ブンブン頭を振って嫌がる。

「ちょっと、怪我しちゃうからやめなよ。もうすぐ本番だし。」

呆れたようにため息をつくのは同い年でも俺とは全く別のタイプの萩野真宙。

「あー、うるせ。」

ボソリと呟く黒瀬優雨。

「あっ、出番だよ。」

そしてわれのお姫様、俺達が組む男だけのバンドの中で唯一の女の子。

森原晴世がマイクを持った。

「よっしゃーー!行くぜー!」

明るい声を出すのは得意。

楽しいことも嬉しいことも大好き。