「やっと帰れるー…」

午後七時、日芽がデスクにバタッと倒れた。

今日はなんとか帰れそう!と喜んでいたとおり、無事に残業なしで終われた模様。

「おつかれさま。どこかご飯でも食べに行く?奢ってあげるよ。」

「ほんと!?…そうだ!私ね、これ。」

日芽がかばんからなにか取り出し、私のデスクにおいた。

それは二枚の紙切れ、というかチケット。

「ここのレストラン、ていうかバー?なのかな。ちょっとしたステージがあって演奏もあるんだって。久々に音楽を楽しまない?」

学生時代同じく吹奏楽部だった日芽も音楽が今でも大好きで、たまに吹奏楽の演奏を聞きに行ったり、ジャズコンサートに一緒に行ったりする。

「いいよ、いこっか。」

この時私は思ってなかった。

まさかあいつがいるなんて…