「お酒はいい。」

前に一度飲んで散々な目にあったから。

「あー、そうだよね。環ちゃん、お酒すっごく弱いもんね!」

そうそう、あんたが一番良くわかってんでしょ。

「けどさ…」

いきなり後ろから抱きしめられる。

「よった環ちゃん、すっげえ可愛かったけど。俺、また見たいかも。俺の前だけでならみたいな。」

耳元でそんなこと言われただけで、顔が、体が、熱くなっていく。

また、私が私じゃなくなる。

いや、今まで自分でも気が付かなかった自分なのかもしれない。

それをこいつにどんどん暴かれていくことが悔しい。

「…環ちゃん、大好きだよ。」

なんでそんなこと、さらっと言えちゃうのよ。

やっぱりこいつ、チャラい。

「キスしたい。こっち向いて?」

「や…待って…」

返事をする前に頬を包み込まれ、唇を塞がれる。

「ん…好き…環ちゃん…」

熱くて、熱くて。

体から力が抜けていく。

重ねられるたびに頭がボーッとしていく。

「俺のこと、名前で呼んで。」