前は抱きしめられても、不快感しかなかったのに。

なのに、今は心地いいって感じてしまう。

「嬉しい!俺もね、環ちゃんが大好き。」

さらっと言うんじゃないわよ。

言い慣れてるのかな。

「本気…?」

つい本音が口から出てしまった。

すると吉崎流星は腕の力を強くした。

「…こんな気持ちになったの、初めてなんだ。俺、環ちゃんのせいですごく変わっちゃった。」

私の、せい?

「けど、俺は今の俺のほうが好き。だって環ちゃんに一生懸命恋してるの、楽しいもん。」

変わったのは自分だけじゃなかった。

私も、変わった私を好きになりたい。

吉崎流星を好きだというこの気持ちを、大切にしたい。

「…環ちゃん、大好きだよ。」

耳元で言われた言葉。

こいつの言うこと、信じるなんてありえないって思ってたのに。

それなのに、この言葉は信じたいって思う。