「もしかして、環ちゃんの彼氏とか?」

は?

成瀬君が?

「ちが…」

「お似合いだね!やっぱ環ちゃんにはこういうバリバリ仕事ができるエリートっぽい人が似合うよね!アハッ!」

なんで笑うの。

笑わないでよ。

私が成瀬君と付き合ってて、お似合いだなんてあんたが言わないでよ。

だって、だって私が好きなのは…

「吉崎流星!!」

「は、はいっ!」

まるで小学生みたいな返事。

「私は…私はあんたが好き…!」

…言ってしまった…

しかも、成瀬君の前で。

ビックリしちゃってるよ。

「あ、ーと。俺、帰るね。お疲れ様。」

成瀬君、そそくさとビルから出て行ってしまった。

顔、見れない。

頬から火が出そうなくらい恥ずかしい。

私がまた、私じゃなくなる。

いや、でもこれも私なのか。

「…環ちゃん…」

ふわっと香る、甘い香り。

シャンプーの香り。

それは吉崎流星が私を腕の中に引きこんだから。