こんなことするの、初めて。

けど、早く会いたい。

バカみたい。

なんでこんなこと、思うんだろ。

会いたいなんて、似合わない。

わかってるのに、思ってしまう。

抑えられない感情。

エレベーターが動いた。


「あれ、久住さん。なにしてんの、こんなとこで。」

「成瀬君…」

ごめん、ちょっとガッカリしちゃった。

「ちょっと人を待ってるの…お疲れ様。」

「そうそう、この前のプロジェクトのことでさ、…」

鞄の中からファイルを取り出した成瀬君。

いや、ここで?

しかもこのタイミング。

さすが空気読めない男。

しかたなく話を聞いているとまたエレベーターが動いた。

今度は…

「…環ちゃん!」

今度はビンゴ…

けどこのタイミング。

どっちもタイミング最悪。

いや、私のタイミングが悪いのかな。

「えーっと、…誰?」

吉崎流星の視線は成瀬君へ。