————これだ。




すっと細められた瞳の温度に、どきりと心臓が嫌な音を立てる。




私が彼に対して感じる違和感は、いつもこの瞳が連れてくる。




常に優しくて、困っているときはどこからともなく駆けつけてくれて、すぐに手を差し伸べて助けてくれる。




決して見返りを求めずに、どんなミスでもどんな時でもいつも笑顔を絶やさない。




助けるのは当たり前と簡単に言ってくれるのが、本当に嬉しくて、格好良くて、憧れてて、好きだけれど。




時々何かのきっかけで、彼は瞳の色と温度を失ってしまったかのような視線を私に向ける。





「ねえ春。春の瞳は、俺を映しているの?」



「も、もちろんだよ!…それ以外なんて、見てないよ」



「…ふふっ。じゃあ、春は俺だけを映しているんだね」





無邪気な笑顔を見せてくれた彼に、ほっと胸を撫で下ろす。




優聖の機嫌をとっている感覚はなくて、どちらかというと、これ以上進んではならない警告が頭に出る感覚。




彼の素顔を見たいのに、核心に触れてしまいそうになると手を引っ込めてしまう。




危険なのは分かっている。




—それでも、彼のことを、底まで知りたいと求めてしまう。