「—じゃあ春、俺だけを映して、俺だけの中にいてくれるよね?」
「…!」
初めて見せてくれた素顔と、視線の温度の正体に気づいて、嬉しさと危うげを同時に感じた。
「…うん、いたいよ」
それでも変わることのない結論と気持ちを認識して、優聖と瞳を交える。
「愛してるよ、春。春以外は何もいらない」
この言葉はきっと本音であって、本心なんだ。
本気でそう考えていることを、彼から与えられる愛の数々で身を持って知っていく。
ヒーローの素顔は、綺麗ではなかった。
仮面の下に隠れていた真実を心と体に刻みつけられても、離れられない私はヒロインなんかじゃない。
互いの全てを解きあって、溶けあって、混ざっていく。
————絶対に、逃れられない。