「じゃあ今から行かせてよ」
「はあ」

 この人は何を考えているんだ。友達が多いのになぜ俺の家に行くと言う話になったんだ。もしかして俺に気があるとかじゃないか? と少し疑いたくなる。けれど俺は分かっている、そんなの自分の都合のいい解釈なのだと。

「というわけでレッツゴー」

 彼女は元気よく言う。俺にはこれが現実かどうか理解が出来ない。なぜこんな状況になっているのか、考えれば考えるほど分からなくなってくる。

「ほら行くよ有村くん」

 彼女は俺の手を引っ張る。もう何が何だか分からない。けれど一つだけ分かるのはこれが幸せだと言うことだ。誰か俺の頬をつねってほしい。なんならそれで俺の頬が痛くなってほしい。夢ではないと言う証拠が欲しいのだ。

「うん」

 そして俺の家に向かう。