夏休みが明けてからというもの、
優子はテストと実習の準備で
多忙な日々を送っていた。
南と食堂の隅で自習をするのが、
すっかり日課になっていた。
勉強が一区切りしたところで
伸びをすると、
南もペンを置いた。
「疲れたね〜」
「結構集中してたよね」
「ちょっと休憩」
そう言って見たこともない、
いかにも高そうなチョコレートを
取り出した。
「一個あげる」
「ありがと〜」
包みを開けて、大きな丸いチョコが出てきた。
食べた途端にそれはそれは甘い
ミルクが口の中に広がった。
「疲れてるから余計甘く感じる」
「頭使ったからね」
優子は首を回してストレッチ、
一方南の休憩といえば、スマホ。
しばらく各々が自分の世界に浸りつつ、
優子が何気なくチョコレートの包を
いじっていると、
南がポツリと呟いた。
「そういえば、先生とどうなの?」
「へ?」
優子はミルクティーの蓋を開けて言った。
「どうって、何が?」
「付き合ってないの」
「ゴホッ…!」
思わずむせる優子に、
「おやおや〜?」と南がスマホを置いた。
完全に、"聞く体勢"だ。